不完全存在の掃き溜め

物語などについて思ったことを自己満で吐き出す場

『ATRI-My Dear Moments-』感想【ネタバレあり】

5億年ぶりにえっちゲームの感想を書く気がする(えっちゲームじゃない)。

引退か?(定期)

ということで今回はATRIの感想です。

 

f:id:trad0605:20200622134917j:plain

 

なんか豪華なメンツで面白そうなの作ってんな~ぐらいの認識だったんですが想像以上に完成度高いもの出来上がってきましたね。

 

早速ここから書いていくんですけどネタバレあるんで気を付けてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや~、面白かったですね。

シナリオ、キャラ、CG、音楽、演出。どれも高水準で世界に引き込まれた。

しかも、2000円やし3~4時間ぐらいで終わるやろって思っていたのが6時間ぐらいあったしでそっちも満足。

このクオリティが2000円ならとりあえず買っとけばいいんじゃないかな~って思う。

本当にどれも良くてノベルゲームの良さ全開って感じでしたね。

 

そして中身に触れていくんですけど、まずキャラがみんな魅力的。

メインヒロインのアトリがかわいいのは全人類共通認識だと思うんでそこまで触れませんがそれ以外のキャラもいい。掛け合いが楽しくてテンポよく読み進められるし、あの町の空気間に浸りやすくて引き込まれる。魅力的な男キャラがいる作品は名作。

ただ、ヤスダだけ弱いと感じてしまったのがこの作品の数少ないもったいない点その1。物語の起伏のために悪役が必要なのはわかるけど、理由が他人のための復讐って弱すぎないか…?頼まれたわけでもなく望まれたわけでもない復讐のために因縁つけられてボコボコにされるのは読んでいて「えぇ…」となってしまったし、そのせいでアトリが泣くシーンで泣けなかったまである。AIに心を持たせようとしていた師匠がほんとにこんなこと望んでいると思うんか?ってなってしまったのが残念。この作品の共通した大切なものを失った存在ではあるんだけど、それでも個人的には弱く感じてしまった。

 

次に演出面なんですけど、CGや背景がめちゃくちゃ綺麗。背景に関してはもうお馴染みとなっているわいっしゅさんがいつも通りの仕事をしていたという感じなんで省いて、CG。重要なシーンのものはもちろん、それ以外のものまで全部綺麗。最後のロケットのシーンとかあのCGのおかげでシーンの火力が上がってる。綺麗なだけじゃなく、ヤスダをボコボコにするシーンやBADのCGの恐怖を掻き立てるCGもすごい好き。

ただ、1個気になったのはヤスダのとこ向かうときにアトリが忘れていった靴は右足なはずなのにBADCGで右足履いてるとこですね(細かいって怒られそう)。

f:id:trad0605:20200622145507p:plain

f:id:trad0605:20200622145533p:plain

 

まあ中身とは関係ないんでそんな気にすることじゃないんですけどね。

音楽もどれもいいしで(ED好き)演出面はほんと文句なしでしたね!

 

そして肝心のシナリオなんですがこれも本当によかったです。

よくある題材をどう調理するのか楽しみにしていたんですがアトリというキャラクターを魅力的に丁寧に描いていたんで心に響きましたし、何より魅力的であったからこそあのログの中身を知るシーンから一気に引き込まれましたね。あそこからは本当に夢中で読んでいました。感情を自覚しかわいさが跳ね上がったアトリ(アトリ本人も感情が無いと思っていたというひっくり返し方がとてもよかった)、祖母や母、主人公との関係性が丁寧に繋がっていたりと完成度が高かったと思います。また、終わりが決まっている中でお別れ会といった単語に悲しくなったり、これまでの日々の素晴らしさが浮き彫りになってくるというのは本当に心を打たれます。最後に2人で眺める灯の戻った街の姿、そして、アトリを失い俺はそんなに強くないとログを眺めながら打ちひしがれていた主人公が父親のロケットという未来を見て再び歩みだすシーンはCG含めて本当に良いシーンでした。

あとすごい個人的なんですが根底にある考え方がめーっちゃ好きでした(心とか喜びとか悲しいとかそういうの)。

短いながらに丁寧に描かれ繋がっていて完成度の高い心に残る名作だと思いました。

 

ただ、個人的にもうひとつだけ納得のいっていない点があるんですよね。

f:id:trad0605:20200622152638p:plain

この作品の数少ないもったいない点その2です。

そもそもの話として水菜萌と結婚していたりと「ん?」と思う点がtrueに結構あるんですよね。まあ結婚に関してはそれこそ18禁ではおそらくできなかったであろうことですし、アトリとの約束でもあったわけだしでまあ水菜萌が善人過ぎるんやなで呑み込めなくはないんですよね。あくまで主人公とアトリの物語ですし。

でも、これもう「救えただろう」でよくないです…?

未来を手にしようと足掻いた結果が種を蒔いた。あそこで再び未来を向いた主人公の成果としてはたしかに充分だと思うんです。最後にアトリとの約束も果たしていますし。

充分なんだろうけど物語としては後味が微妙だと思うんですよね。もうここまでやったなら「救えただろう」で終わったほうが綺麗に終わりますし。最後の最後に中途半端に投げ出された感が出てしまっているのが個人的にどうしても引っかかってしまう。「救えただろう」、それだとご都合主義だという人がいるかもしれませんが中途半端にされるより個人的には全然良いと思うんですよね。青ブタの記事にも書きましたけどご都合主義かどうかなんて曖昧なものですし。あの日主人公がロケットに感化されたように人は未来を望み続いていくといった意味もあるのかもしれないですけどしっかりと幕を閉じて欲しかった。きっと主人公の蒔いた種で世界は救われるんでしょうけど、そんな未来はどうでもいいんですよ。極論言ってしまえばこれまで読んできたのは主人公とアトリの物語でありその2人が終わるのならばその先の世界なんてどうなったっていい。中途半端に未来の可能性の話なんてしないでいいと思うんですよ。未来の可能性の話をするのなら主人公たちがどういった想いをもって研究や行動をしてきたかを描いて、2人がいなくなった世界の未来への想い、大切さを描いていないといけないと思うんですよね。

幼き日の約束通り世界は救えたよこれでめでたしめでたしでいいんじゃないかと思えてしまったのが個人的には残念でした。

 

最後に色々書きましたけど、これ僕の偏った思想が溢れ出てるだけなんであんま気にしないでください。

最後の最後に思うところはありましたけど書いてきた通りに丁寧に作られた名作だったと思います。

次回作があるのかはわからないですが今後の動きが楽しみですね。

徒花異譚のほうも評判良さげだし買おうかな?

 

今回はここまでですお付き合いくださりありがとうございました。

 

 

追記

あまりにも18禁でやれっていうのを多く見かけるのと、全年齢は逃げみたいなものを見かけたので僕の考え貼っときます。

f:id:trad0605:20200622233931p:plain

 

何でもかんでも18禁でやれっていうのは違うと思うし、そんなん普段エロゲしか読んでない奴の我儘やと思ってしまうんですよね。

どういう考えでそう言ってるのかわからないので深くは触れませんが。